サーバの仮想化に最適な導入曲線はあるのか?(20090917-4)

9/17/2009   |   原文はこちら (English)

ゲスト執筆者:Ron Oglesby、Dell社、国際インフラコンサルティングサービス事業部業務主任

顧客の現場でサーバの仮想化が導入されている割合は、筆者が常に関心を持っていたことの1つだ。なぜそれが非常に興味深いのかというと、同じ目標を持ち、ほぼ同じ規模の企業や組織の間でも大きな差があるからだ。CEOやCIOが仮想化を推進して本格的なインプリメンテーションが進んでいるところもあれば、やり過ごせるかもしれないとの思いを抱いて「草の根」運動程度で急場をしのいでいるところもある。「新技術好き」のところが3 - 4年経過してもわずか30%しか仮想化していないのに対し、2008年にプロジェクトを開始したばかりのライバルが今では40%が仮想化されているという状況を見たこともある。

筆者はこれらの経験から、導入を進めるところを、仮想化した環境の割合と、サーバの仮想化技術を導入している年数だけに基づき「格付け」できるのではないかと考えるようになった。そして、もし格付できるのならば、サーバ仮想化にとって「最適な導入曲線」も、環境の純粋なポテンシャルだけに基づいて定義する必要がある。

最適な導入曲線に関する数字に触れる前に、まずはいくつかの考えを捨て、仮定をいくつか立てる必要がある。

最初に捨てるべきは、サーバの仮想化に関する政治的な問題だ。筆者は、「アプリのオーナーから抵抗があってどうしてもこれ以上早く動けない」という企業や組織の話を頻繁に耳にする。これは、戦術的には対応の必要な問題だが、戦略的な観点から見れば言い訳に過ぎない。

この「言い訳」を排除する第一の理由は、大半の企業や組織は、買ってから1 - 2年しか経過していないサーバを仮想化することはないという点だ。一般的に、(ミクロレベルでの)仮想プラットフォームへの移行は、サーバの減価償却後、もしくは刷新が必要で、いずれにせよ新しいハードウェアと入れ替えなくはならないときに行われる。この場合、VMの方が既存のサーバより計算能力が高いことが多いため、仮想化に移行しない理由は全くなくなる。したがって、これは大きな戦術的な問題ではあるものの、幹部の力、ポリシーの変更、VMの導入によるITの標準化さえそろえば解決されることが多い。

捨てなくてはならない(あるいは新しい仮定を作り出さなければならない)2つ目の項目が、VMではすべてが動作するわけではないという考え方だ。これは書き間違えではない。今日のVMでは何でも動作する。ならば、明日から急いですべてを仮想化するだろうか?しないだろう。筆者は5年以上仮想化の評価を行ってきたが、だいたいどの場合も、1プロセッサを使い切らず、メモリは2Gバイト未満で、ディスクやネットワークの利用率も同様に低い候補を勧めてきた。このような基準を導入することで、どの顧客の環境でも、必ず80%以上は仮想化できることが分かったのだ。

そこで筆者は、顧客には環境の80%は仮想化が可能であると2004年から伝えてきたが、(5年後の今も)これらの企業の大半はその数字に全く近づいていない。なぜだろう?

今日、VMの外で何かを運用することは原則に対する例外のはずだ。スタンドアロン物理サーバの設備投資費や経常費は仮想サーバより2 - 3倍高額となり、このことだけでも、今日の環境ではVMこそ最も有力なプラットフォームであることを決定づける。

これらの考え方すべてに基づき、筆者は3つの導入モデルを考え、それぞれを重ねて組織とその仮想化利用の格付けを行う手法を作成した。このモデル(以下参照)を構築するために使われた仮定は非現実的なものではなく、自分が曲線のどの部分にいるのかを示してくれる。

環境関連の仮定:

  • 1年あたり10%の成長率。
  • 4年の置換/減価償却サイクル。
  • プロジェクト開始を1年目とする。
  • 導入率(仮想化した新/再生サーバの割合)はどのモデルでも毎年増加する。

以下の表は3つのモデルすべてとプロジェクト年度ごとの導入率を示している。

 

 

1年目

2年目

3年目

4年目

「先行」/「有効域」

70%

85%

90%

90%

平均

40%

75%

75%

75%

「遅延」

25%

33%

50%

60%

 

これに対する理解を深めるために、「平均」(Average)の数字を使ってみたい。1年目の40%という導入率は、プロジェクトの1年目に新サーバの40%と再生サーバの40%が物理マシンではなくVMで導入されたことを意味する。そして2年目には、この顧客は新サーバと再生サーバの75%をVMで導入したことになる。したがって、1年目以降いまだに物理サーバとなっているのは導入済みサーバのわずか25%しかないということになる。

言うまでもなく、1年目にVMとして導入された新サーバが25%以下で、2年目が33%に上がる「遅延」(Behind the curve)は導入率が遅い状態だ(実際はさほど珍しいことではない)。「先行」(Ahead of the curve)もしくは「有効域」(Power Band)は、仮想化を完全に活用しており、1年目に新サーバの最大70%に仮想化を導入し、2年目は最大85%に達するような、筆者言うところの「最適な」導入率を維持している。

では、これらはどういう意味を持っているのだろうか?そして、あなたにとってどういう意味を持っているのだろうか?自分がいつ仮想化に取り組み始めたのか(その年が)分かっていて、自分の環境で仮想化されたx86サーバの割合をかなり正確に出すことができるなら、この曲線に合わせて自分自身で格付けを行うことができる。以下は、顧客の格付けを排除した曲線だ。

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このグラフでは、小さい数字(7.3、16.2、29.4、および44.5)は「遅延」の上限を表している。「平均」域に行くためには、自分の環境がその仮想化率を超える必要がある。大きい数字(11.6、32.3、51.4、および68.9)は「平均」の上限であり「有効域」の下限だ。仮想化のフル活用を進めて3年目に入ったと言いたいのであれば、その3年目の終わりまでに環境の51%以上を仮想化する必要がある。プロジェクトを開始してから3年目に入っていて仮想化率が25%の場合は、(先の表を参照すると)仮想化の利用率は新サーバの40 - 50%未満であることが分かる。今日の技術を考慮すると、これは全く容認できない。

会社の格付け
自己採点方法を紹介するために例として、2社の架空の企業を以下のように作成した。

会社A: 2007年から仮想化を導入しており、自社環境の40%を仮想化している。

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ご覧のように、この顧客はプロジェクトが3年目に入っており(4年目が近づいている)、最適な「有効域」導入曲線のわずか下に位置している。彼らは真ん中もしくは平均的な位置にいるが、技術を最大限には活用していない。80%の仮想化を達成するまでには、まだ数年(おそらくあと3-4年)かかるだろう。

会社B:2006年から仮想化を使っており、環境の40%を仮想化している。

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会社Bは会社Aと同じ割合の環境を仮想化しているが、仮想化を最大限に活用していないため導入曲線から遅れている。一例として、この会社がVMを導入しているのは新しいマシンの50%未満だ。この割合では、2006年から実現可能だった80%の仮想化には絶対に到達できず、削減できていたはずの費用の大半を失っている。

では、あなたはこの曲線のどこに位置しているのだろうか?あなたは仮想化を最大限に活用しているだろうか?それとも、プロジェクトが始まって2-3年もたつのにまだ物理サーバの購入を進めているのだろうか?今購入した物理サーバには、電源供給と冷却対応が少なくとも4年必要になる。そして、もしそれを今購入すれば、2013年になる前に仮想化を考え始めるだろう。導入率(最初の表)をもう少し「有効域」に近づけるべきではないだろうか?

お気づきかもしれないが、大胆な「有効域」はやはり大胆だと感じる。だが、これはかなり現実的なものであり、今日の技術で完全に可能であるだけでなく、2006年の技術でも完全に可能なのだ。わずか数年で環境の大部分をVMで構築するには、この「有効域」が最適な道なのだ。これより下では、対処に追われるだけで根本的な解決にはならない。

「Oglesby」の「有効域」に入っていない方が考えるべきは、そうなっている理由だ。何が導入を遅らせているのだろう?それは技術ではないのだ…

次回からは、仮想化による標準化に関し、導入率を加速させるための重要なカギをについて解説し、今後数週間は、この話題をこちらのDirect2Dellに投稿していく。
みなさんが導入曲線のどこに位置しているのかぜひ知りたいのでコメントをお寄せいただきたい。また、「有効域」に入っている方にはどのようにそれを達成したのか教えていただきたい。そして、そこに到達していない方には何が原因なのかを教えていただきたい。