VMworld 2008総括 - パート1(20080925-1)
2008年にVMware社が主催したVMworld 2008カンファレンスは、1万4000人の出席/参加者が集まり、200社以上のパートナー/競合各社が出展してあらゆる記録を更新した。
既報の通り、プレス発表だけを1つ1つ見たのでは実際に起きたことを理解するのは不可能だ。
そこで、すべてのデータを集めて整理し、仮想化業界の今後の方向性を理解する必要がどうしてもあった。
VMware社はクラウドへ向かおうとしている。
Micheal Keen氏、Mike Laverick氏、Massimo Re Ferrè氏など、そのほか多くの有力者は同イベントを伝えるレポートのなかで指摘しているように、VMware社はクラウドコンピューティングのビジョンを必要以上に売り込んで、Amazon社が作り出した市場に参入して独占しようという考えを鮮明にした。
もちろん、同社がITをオンデマンドで幅広く普及したコンピューティングという理想郷に向かわせようとしていることが分かるのはうれしいし、エキサイティングだ。
virtualization.infoは2年ほど前、仮想化はグリッドコンピューティングというその先へ向かうための第一歩に過ぎないと書いている。
また、 Microsoft社の仮想化市場参入直後には、VMware社が具体的な投資を行ってクラウドコンピューティングに向かうと予測する記事も公開している(Microsoft社にはあと10年はVMware社を追従することができず、EMCの子会社には競争をリードする余地が与えられるからだ)。
とはいえ、このメッセージの響きはかなり弱い。
われわれにはビジョンが必要だ。人間が作り出した市場のエコシステムでは、既存のものを販売/採用しながら先を見据えて新技術にエネルギーを集中する必要がある。
これまでのカンファレンスでは、VMware社が将来のビジョンを示せないと我々は不満を訴え、より多くを要求した。しかし限界もある。あまりに先へ進みすぎると、可能なもの(そして望まれるもの)と、マーケティングの誇大宣伝に過ぎないものとを取り違えてしまう可能性がある。
Maritz氏の基調講演後に行われた質疑応答では、同社がこのような未来が2年で具体化すると想定していることを明かした。だが現状を見ると、むしろ8~10年後というかなり先の話に思える。
そして、今回の1万4000人の出席/参加者を見た場合、そのなかのどれほどの割合(50%程度か?)が中小企業(SMB)であり、そのうちのどれだけがクラウドコンピューティングのアプローチの受け入れを本当に考えているのかは疑問だ。
VMware社ではSMBがこのような革命的アーキテクチャを魅力的だと感じると確信している。それは、最初のアプローチで災害対策サイトを低コストでインプリメントする手段が提供されるからだ。
しかし、多くの小規模企業はいまだにキャパシティプラニングを無視し続け、P2Vの移行に悪戦苦闘しており、仮想化の採用が本当にコストなどの削減につながるのか見極めようとしているように思える。
そのほか、多くのソリューションプロバイダーの作業はその品質が低く、これが技術に対する信頼を傷つけ、いずれは小規模企業が仮想ではない世界に連れ戻されてしまうとも見ている。
ここでは、法規制の順守とクラウドコンピューティングが両立できない(今後2年以内はおそらく無理だろう)大企業の話は飛ばすことにする。
つまり、もしクラウドコンピューティングを(あまりに熱心なPR担当者が既に売り込んでいる)「Virtualization 3.0」と呼ぶならば、多くの企業はまだ0.9の段階にある。
しかし、このビジョンの実行性と、これが主流になるタイミングについての話はしばらく横に置いておこう。
2008年のVMworldは、以下のような点からかなり特別なものだった。
- 全く新しい最高経営責任者(CEO)の就任
- 2人の共同創業者の退社(CEOのDiane Greene氏とチーフサイエンティストのMendel Rosenblum氏)
- 複数の重要な幹部の退社
- 株価の大幅な下落
- Microsoft社との競争激化(事実であれ、感覚的なものであれ関係ない)
これらの数々の出来事が同時発生するなか、新CEOのPaul Maritz氏は壇上で顧客に自己紹介を行い、同社を率いるのに最適な人物である理由と少なくともしっかりした計画を数四半期分持っていることを示すことが期待された。
だが実際のところ、同氏はまだ就任からわずか2カ月半しかたっておらず、タイミングは早すぎたが、まもなく投入する戦略にも全く言及しなかった。
Maritz氏はクラウドという言葉を35回繰り返し(熱心に数えた人物がいた)、現在自社が抱える問題の解決計画については、この言葉抜きに説明することができなかった。
同氏の基調講演を受け、VMWの株価は大きく値下がりした。 その理由を考える必要はあるだろうか?
幸いにも、多くの実体のないクラウドを背景で支えるのがESXであり、最高技術責任者(CTO)のSteve Herrod氏が壇上で行った「ESX 4.0」の先行公開は、具体的であり、感動した。
VMware社はまもなく登場するこのバージョンで、仮想化がITのあらゆるセグメントを変えることのできる驚くべきツールであることをこれまで以上に訴えていく。
会社でコストを負担できるなら(常にこれが問題の焦点だった)、「VMware Fault Tolerance」(旧 Continuous Availability)、「VMsafe」、「AppSpeed」、「Virtual Distributed Networking」など、ひとまず公開された多数の新機能は、データセンタに本格的な技術革新をもたらすだろう。
Rich Miller氏とChristopher Hoff氏がすみやかに指摘するように、これらのうちのいくつかはまだ初期段階にあるが、VMworld期間中のセキュリティ業界はVMsafe関連では驚くほど静かであり、Cisco社などは、まもなく登場するVirtual Distributed Networking向け仮想スイッチのベータを発表することさえできなかった。
しかし、2009年中旬に出荷したとしても、VMware社とは今のところほとんど競争にならないように思える。
また、残念ながらマイナス面もある。VI 4が壇上で輝けば輝くほど、206社のパートナーが相乗効果と統合について話をする展示フロアではより多くの懸念が生まれてくるのだ。
「vCenter 4.0」(旧VirtualCenter)は、チャージバックからオーケストレーションまで、仮想化分野のほぼすべてのニーズをカバーする一連の新モジュールを搭載しようとしている。
VMware社の管理レイヤの上に付加価値を載せようとしている会社はどこも、もうすぐ自社の存在を正当化するのに苦戦するようになるだろう。
もちろんVMware社では、柔軟なAPIと友好的かつ協調的な市場戦略を約束してパートナー各社を安心させているが、パートナーの頭のなかにはVDIに関する2007年の非常に不快な記憶が残っている。同社は当時、最初に健全なエコシステムを提供してこれを推進しながら、企業の1社(Propero社)を買収して台無しにしてしまった。
基本的に、Steve Herrod氏は壇上でVMware社による各分野への参入手法を先行公開したが、必要なすべての機能が今の市場から入手できるなかで顧客が2社のベンダーと取引する方を選ぶ(異なるライセンス/サポート契約を意味する)とは考えにくい。
したがって、パートナー各社には現在、基本的に2つの選択肢がある。買収される価値のある画期的な機能の開発を期待してVMware社に忠誠を尽くして研究開発関連の投資をvCenterに集中するか、自社の取り組みを見直して、急きょMicrosoft社(Hyper-VやSCVMMの機能不足)がかつてないほど魅力的になったクロスプラットフォーム戦略の方向に移行するかだ。
想像に難くないが、どのベンダーも長期にわたってMicrosoft社のプラットフォームに関心を持ってきた。しかし、限りない資源を開発に投資できるところは1社もない。
ほぼすべてのことが可能なvCenterは、1~2年遅れるかもしれないMicrosoft社とのこれらすべての提携を推進することになる。
2番目の、最後となる総括では、VMware社がクラウドへと向かうなかで残りの仮想化業界が向かう方向について考察する。

