仮想化技術採用ガイド - パート8 (20070522-8)

2/19/2008   |   原文はこちら (English)
(この記事は、virtualization.info英語版に2007/05/22に掲載された記事です。)

これまで仮想化の世界を長期にわたって紹介してきたが、今回はその最終回となるエンタープライズ管理について解説する。

前回は、われわれのニーズに最適なセキュリティソリューションの評価を行った。仮想化技術採用プロジェクトのあらゆる側面の深い理解には、パフォーマンス測定とレポートの問題を残すだけとなった。

実際のところ、問題をピンポイントで把握したり、リソース消費の有意義なレポートを用意する目的で仮想マシンのパフォーマンスをトラッキングすることは、仮想化の専門家にとって最も複雑な作業の1つだ。それは、仮想マシンの動作と基盤となるホストに厳密な関連があるだけでなく、ほかの仮想マシンの動作にも大きく依存するためだ。

これまで見てきたさまざまな問題と同じように、今の市場には、これらの問題に本当の意味で対応可能な製品が少ない。

仮想化では新しい測定基準が必要

まず最初に、データセンタで行われる従来のパフォーマンス測定方法は仮想インフラにうまく当てはまらないことを理解しなくてはならない。

仮想サーバが物理サーバとほぼ同じか完全に異なるかは、その見方によって異なる。

内部から見た場合、仮想マシンはパフォーマンスモニタが要求する可能性があり、通常トラッキングする従来のカウンタをすべて提供する。そのため、すべてのゲストOSにエージェントをインストールするだけであれば既存のレポート製品で十分だ。 しかし仮想の世界では、入手した数値のなかに価値のあまりないものや全く意味のないものも含まれる。

典型的な例が、「VMware ESX Server」環境におけるメモリ消費量やメモリページング量だ。

このVMwareのフラグシップ製品には「バルーニング」と呼ばれる特殊な機能が搭載されている。

バルーニングのおかげで、ESXはシステム管理者が仮想マシンに割り当てた一部のメモリを一時的にほかの目的に使うことができる。VMware Toolsに搭載された専用のドライバは、いつでもゲストOS用にメモリをリクエストできる。ちょうど風船を膨らます(baloonする)イメージだ。また、必要に応じてこれを開放し、必要とするほかのVMに即座に割り当て直すことができる。

この処理中は、OSがページアウトを余儀なくされ、想定外で若干のパフォーマンス低下が発生する。

しかし、すべてが通常の状態に戻ると、ESXが「風船」をしぼませて元の仮想マシンにメモリを返す。

このようなシナリオでは、ゲストOSが間違ったメモリ/ページファイル使用量を通知してくるため、完全に間違った仮想マシンのパフォーマンス予想が出てくる場合もある。

さらに見ていくと、ほかの測定値にもホスト上の処理に関連した意味しかないものもあることは簡単に分かる。

仮想マシンが高いCPU利用率を頻繁に通知してくるような場合も、仮想ハードウェアのアップグレードや仮想CPUの追加が必要で、それによって必ず問題が改善できるとは結論づけられない。

仮想CPUの利用率があまりに高いのは、仮想マシンのサービス提供速度がホストレベルで十分でないことを意味する場合もあり、そのような場合はハイパーバイザーのリソース管理のチューニングや、物理CPUの追加が必要になる可能性もある。そして、特定の値をホストレベルでトラッキングしない限り、このような状況は見つけることができない。

では、測定に対するアプローチを変える必要があるとして、正確には何をトラッキングする必要があるのだろうか?

1台のホストで大量の仮想マシンが動作する高密度仮想データセンタでは、相互の依存を考慮して、複数の要素を集めたものではなく、1つの構成としてシステム全体をトラッキングする必要がどうしてもある。

仮想マシンとホストの間の関係も重要になるので、レポートソリューションもあらゆる仮想データセンタの柔軟性に対応し、インフラ内でのホットもしくはコールドゲストOSの移行にシームレスに適合しなければならない。

大事なことが抜けていたが、これらの製品はスケーラビリティにも対応しなくてはならない。管理者が数百台のホストに導入された数千台の仮想マシンのパフォーマンスを考慮しなくてはならない場合は、レポートソリューションは完全な自動化モードで機能し、人間が判読および理解できる洗練された概要レポートを提供する必要がある。

ほぼゼロから出発する市場

パフォーマンストラッキング/レポートソリューションの市場は、今日の仮想化業界でも製品が最も少ない市場の1つだ。

その要因は、複雑な部分があったり、需要がまだ高くなかったり、従来のソリューションが急速に適応力を失いつつあるとの認識が低かったりとさまざまだ。

言うまでもなく、仮想化プラットフォームのベンダー各社も多かれ少なかれ強化されたレポートツールを提供しているが、本格的な専用ソリューションで顧客のニーズに対応するところは現時点では1社もない。

したがって今は、限られた市場にわずかの製品しか投入していないサードパーティーの仮想化関連ISVに頼らざるを得ない。

現在のところ確実に名前を挙げられるベンダーの1社が、「esxRanger」でVMwareだけをターゲットにするvizioncoreだ。

これは、さまざまな種類のグラフや、仮想マシンとホストのパフォーマンス追跡履歴を提供しており、エントリーレベルの非常に優れた製品だ。

vizioncoreは無償版も用意しており、予算の限られた部署でもインフラ内の状況を理解するのに十分な機能を提供している。

一方、Devil Mountain Software(DMS)は、ハードウェア仮想化ソリューション(VMwareやMicrosoftなどだが、Windowsベースの仮想マシン限定)のほか、アプリケーション仮想化ソリューション(Softricity、Altiris)もサポートする「Clarity Suite 2006」により、これより幅広い顧客層をターゲットにしている。

また、Clarity Suiteは仮想化ワークロードのプロファイリングに重点を置き、スコアリングシステムによるパフォーマンス比較を行うホスティング型ソリューションとなっている。

このソリューションは、仮想マシンとホストの測定基準を簡単に関連づけるのでキャパシティ・プラニングや「what-if」分析に便利だが、仮想化環境で最も完成度の高いレポートシステムと呼ぶにはまだほど遠い。

vizioncore同様、DMSもClarima Suiteの無償バージョンを用意しているが、こちらは残念ながら導入可能なエージェントや機能がかなり限られている。

言及するに値する最後の会社がNetuitiveという新会社で、vizioncore同様VMware ESX Serverに焦点を絞っているが、革新的な機能を用意している。同社の「Netuitive SI」ソリューションは、仮想マシンとホストのパフォーマンスを自動的にプロファイリングして行動プロファイルを作成し、これを関連づけるなどして活用し、異常動作を認識する。

そのような動作が発生するとすぐにNetuitive SIが反応し、VMwareインフラに対してリソースプールのコンフィギュレーションのやり直しを要請し、人間が介入するかなり前の段階でパフォーマンスのボトルネックに迅速に対処する。

データセンタの自動化が始まるのはレポート機能からになるのだろうか?

*ご注意:本稿は、昨年英語版サイトで最も閲覧されたニュースのうちの一つとして掲載しております。そのため一部情報が古い可能性もございます。 なお、原文はこちらをご参照ください。