仮想化技術採用ガイド - パート3 (20070522-3)

2/19/2008   |   原文はこちら (English)
(この記事は、virtualization.info英語版に2007/05/22に掲載された記事です。)

前回は、細心の注意を要するキャパシティ・プラニングのフェーズについて解説した。ここでは、想定されるすべての仮想マシンをホストするのに必要な物理マシンの種類を仮想化担当アーキテクトが慎重に評価しなくてはならない。また、この評価が決められた特定の戦略に依存すること、そしてこれらの戦略がホステドアプリケーションのワークロードにいかに大きく依存するのかについても解説した。

経費報告書は、仮想化技術の採用において会社が直面する投資の一部を詳細に明らかにするもので、この技術が実現する数多くの費用節約効果の一覧と比較される。

ROI計算

ここれはプロジェクト全体で最も重要な部分だが、解説は最初ではなく3番目になっている。これは、見込み客がこの技術の採用に十分な投資資金があるかどうかを把握するために、既に膨大な量の時間と資金を投入済みだと判断しているためだ。

ROI(投資利益率)計算は、簡単な計算を行うことにより仮想化技術採用後に自分たちの会社が軽減もしくは排除できる経費の合計金額を出す。

だが、計算式のなかで直接経費が過小評価されたり、間接経費に至っては認識されないこともあるため、その作業は容易ではない。

仮想化によって削減できる直接経費には以下のようなものがある。

  • 物理サーバ用の物理スペース(賃貸/所有物件)のコスト
  • 物理サーバを運用するための電力経費
  • サーバルーム冷却用の空調費
  • 物理サーバのハードウェア経費
  • ネットワーキングデバイスのハードウェア経費(スイッチやファイバチャネル・ホストバスアダプタなどの高額製品を含む)
  • OSライセンスのソフトウェア経費
  • 購入したハードウェアおよびソフトウェアの年間サポート契約経費
  • 想定される障害に備えるためのハードウェア部品経費
  • 想定されるハードウェア障害のダウンタイムコスト
  • すべての物理サーバおよびネットワーキングデバイスの保守人件費

仮想化市場の急速な変化を考えると、これらのなかにはプロジェクトごとに見直しを行い、掘り下げた分析を行う必要があるものもある。

たとえば、OSライセンスのソフトウェア経費は2007年に入って初めて加わった項目だ。

以前は、仮想マシンや物理サーバを使ってもWindowsを使う顧客には違いはなかった。だが、Microsoftが仮想化技術の採用を促進すべく2007年に同社のライセンス契約に若干の変更を加えてきた。

今では、「Windows Server 2003 Enterprise Edition」のオーナーはどのエディションでも仮想マシンのなかでWindowsのインスタンスを最大4つ追加運用できた。

新しい「Windows Vista」は、仮想マシンのなかに2つ目の仮想インスタンスを置けるライセンスになる。

そして、まもなく発売される「Windows Server (コード名Longhorn)」の「Datacenter」エディションでは、同OSの仮想インスタンスが無限に認められている。

近い将来には、Microsoftが戦略を追加修正し、同じ物理ハードウェア上である限りホストOSの仮想インスタンスを無限に許可するようになる可能性が非常に高い。

いずれにせよ、一覧にある直接経費はすべて、前回のフェーズで考察した2つの要因に直接かつ厳密に依存する。選んだ仮想化プラットフォームのVM/コア比、そしてとりわけ、キャパシティ・プラニング中に決めた仮想マシンの配置だ。

前の作業をうまくこなせばこなすほど現実的な状況が得られるようになる。

しかし、どのような配置や仮想化プラットフォームが採用されるとしても、他に重要な間接経費をいくつか計算する必要がある。

  • 新しいサーバとアプリケーションを導入するための時間費用
  • 必須のコンフィギュレーションを適用するための時間費用
  • 予定外の深刻な障害に備えて新しい物理ハードウェアに移行するための時間費用
  • 機器の老朽化から新しい物理ハードウェアに移行するための時間費用

これらの要因は容易には数値化できないが、仮想インフラ関連ではこれらが投資利益率(ROI)計算を劇的に変える。

コンフィギュレーション済みの環境に新しいサーバを導入する際のスピードと効率(通常「遂行能力」と呼ばれる)で仮想データセンタに勝るものはない。

同じように、障害を起こしたハードウェアから安全なものへとミッションクリティカルなアプリケーションを移動するときの速度と効率(いわゆる「復旧能力」)は、仮想化マシンの基盤機能であり、これに対抗できるセキュリティソリューションはない。

ROIの計算が難しい作業であり、解釈の違いから大幅に異なる結果が導かれ、それがプロジェクトの失敗へとつながる可能性があることは確かだ。

一部のベンダーでは、見込み客を支援すべく、CPU/VM比の値や製品ライセンスの価格などの一部編集済みのフィールドを付けたROI計算ツールを提供している。

SWsoftの場合は、同社のOSパーティション製品である「Virtuozzo」用にオンラインフォームを提供している。

そのほかにも、スキルの高い仮想化技術の専門家が自分たちの経験を便利なツールに生かし、これらをコミュニティー全体が利用できるようにしている。

例として、Ron Oglesby氏が「VMOglator」と呼ばれるExcelのスプレッドシートを作成している。これは物理ハードウェアの特性に応じて仮想マシンの費用を評価するのに欠かせない。

セルフサービスの計算では、コスト削減分析のすべての要因をトラッキングできず、顧客も自分たちで費用の真の値を評価する力や時間がない場合が多いため、多くの場合、これらはあまり効率的ではない。

従来のROI分析(できれば中立のサードパーティーベンダーが実施)を義務づけるのが最良の選択肢だが、かなりの時間と費用のかかるサービスであるため、これを確実に実施できる中小企業は少ない。

このフェーズの最後では、既存インフラ(いわゆる「AS IS」環境)の費用一覧、仮想インフラ費の一覧、そして以下のものを含んだ導入費の一覧を入手する必要がある。

  • 仮想化する物理サーバを選択するための人件費
  • キャパシティ・プラニングを完了させるための人件費
  • ROI分析のための人件費
  • 実際のインフラを移行させるための人件費
  • 新しいインフラへの移行に必要なノウハウを習得するための人件費と教材費
  • すべての採用フェーズで必要なすべてのツールのソフトウェアライセンス費

これらの値は、会社が仮想化に対応可能かどうか、そして何カ月でコストを回収できるかを理解するための最終的なツールとして利用すべきものだ。

次回は、「Physical to Virtual(P2V)」移行と呼ばれるプロセスによって既存の物理マシンを仮想マシンに変換するという最初の作業からプロジェクトの運用フェーズに入っていく。

*ご注意:本稿は、昨年英語版サイトで最も閲覧されたニュースのうちの一つとして掲載しております。そのため一部情報が古い可能性もございます。 なお、原文はこちらをご参照ください。