仮想化技術採用ガイド - パート1 (20070522-1)

2/19/2008   |   原文はこちら (English)
(この記事は、virtualization.info英語版に2007/05/22に掲載された記事です。)

仮想化への取り組みは口で言うほど簡単ではない。小規模のテストや開発に向けて仮想実験環境をゼロから構築するのではなく、既存の本番環境からの移行を行うときなど特にそうだ。

企業の仮想化プロジェクトの背景と、その過程でITマネージャーが直面する問題には何があるのだろうか?

今回の長期シリーズは仮想化技術の採用における以下の各フェーズを確認していく。

たとえ今日の仮想化市場がベンダーや製品であふれていると思っていても、本シリーズを読んでいけばそれが間違いであることが分かるだろう。この市場の大部分はまだ成熟しておらず、何らかの適切な対処を必要とする分野が複数残っている。

候補サーバの選択

広範囲に及ぶ仮想化プロジェクトの最初のフェーズでは、仮想化する物理的なサーバを識別する。

この作業は思ったほど簡単ではなく、効率的な企業管理ポリシーがない場合は、もしかすると最も時間のかかる作業かもしれない。

ここで問題となるのは、データセンター全体の資産の発見とその棚卸しだ。

2番目ながら同様に重要なのが、サーバ全体のパフォーマンス測定を完了し、キャパシティ・プラニングのフェーズで重要な意味を持つデータの蓄積だ。

たいていの場合、IT部門の管理層は、資源をさほど要求しないサーバがどれかあまりよく分かっておらず、先に進んでも問題ないと即断してしまうため、この作業がしばしば見落とされる。

ときには、サーバ作業負荷の評価におけるトラブルや単なるまずさなどにより、予想もしないボトルネックがベンチマーク分析から明らかになることもある。

最初の件に対しては、即座にプロジェクトを中止してボトルネックの解消に着手するのが最適な方法だ。仮想環境でパフォーマンスの悪いサーバを運用することは、インフラ全体に極めて深刻な影響があり、トラブルシューティングでの大きな問題につながる。

パフォーマンスの平均とピークを正確に計算することも、仮想化技術採用の次のフェーズであるキャパシティ・プラニングに向けて重要なことだ。そこでは、同じホストマシン上で相補的役割の集約が必要になる。

測定値を集めたら、インベントリ情報のなかから適切な仮想化候補を特定する必要がある。

一部の顧客の考え(あるいは一部のコンサルタントの主張)に反し、現時点ではすべての物理的サーバを仮想化することはできない。

仮想マシン化するサービスを決めるにあたっては、仮想化のオーバーヘッド、特殊なハードウェアへの依存、そして製品サポートの3つの要因が重要になる。

仮想化のオーバーヘッドは、今後の仮想化技術の改善でどんどん改善されていくが、それでも真剣に検討しなければならないことの1つだ。

I/Oの負荷は、仮想化技術の採用において一旦止まって考えなければいけない重要な問題であり、データ交換に大きく依存する一部のサーバは簡単には移行できない。

仮想インフラへの移行は、データベースとメールの両サーバが特に難しい。

いずれの場合も仮想化によるI/Oストリームへのオーバーヘッドがパフォーマンスに重大な影響を与えるため、場合によっては移行を断念せざるを得ないこともある。

しかし、これらの各種サーバでもこれといった原則はなく、実際はワークロードに依存する。

これといった努力をせずに仮想化を実現した顧客のケースもあれば、見積もりの2倍の資源を仮想マシンに投入して初めて移行に成功した顧客のケースもある。

次に、一旦止まって考えなければいけない問題が、今の本番サーバが依存している特殊ハードウェア関連だ。

仮想化製品が古いシリアルやパラレルなどの標準的ポート類を仮想化できるようになっても、ベンダー各社は新しいハードウェアコンポーネントを要求に応じて仮想化できずにいる。

簡単に示せる有効な例が、ゲーム開発やCAM/CADアプリケーションに欠かせない現代のパワフルなビデオアダプタ類だ。これらは、今日最も激しい争いを演じていながらサポートされていないハードウエアだ。

3番目に、仮想化の候補としてサーバを選択するときに一旦止まって考えなければいけない問題が、製品のサポートだ。

この市場が現代的なサーバの仮想化を真剣に検討し始めたのはここ2年ほどのことで、ベンダー各社は仮想マシン内での自社製品のサポート表明がかなり遅れている。

理由は簡単だ。パフォーマンスに影響を与える仮想インフラ内の要因があまりに多く、たとえそれが分かっていても、ベンダーのサポートスタッフにコントロールできないところでアプリケーションの動作が深刻な影響を受けてしまう可能性があるからだ。

仮想化ソリューションを提供してきたMicrosoftも、自社の「Virtual Server」内での製品サポートには消極的で、今日でも複数のWindows Server技術が未サポートのままだ。

したがって、手元にあるサーバが仮想化マシンとして適していると思えても、ベンダーがそのなかでアプリケーションをサポートするかどうかで最後は決まる。

仮想化プロバイダーはどこも(たいていは未公表ながら)サポートベンダーの一覧を用意しているが、使用するアプリケーションのベンダーに直接問い合わせて確認した方がよいだろう。

サポートされていないにもかかわらず仮想化を進めるのはあまりにリスクが高く、テストに長い時間をかけた結論としては推奨できない。

仮想化分野の製品の観点から見ると、ハードウェアベンダー、OSベンダー、アプリケーションベンダー、そして中立の仮想化専門家の4つの専門家が候補サーバの選択問題に取り組んでいるにもかかわらず、市場にはまだ選択肢が乏しい。

仮想化用の大型高速コンピュータとアウトソーシングサービスを提供するIBMやHPなどのハードウェアベンダー各社は、たいていは仮想化技術候補を選択するための社内技術を持っている。

「IBM Consolidation Discovery and Analysis Tool(CDAT)」のように、顧客が利用できるよう公開されているツールもまれにある。

OSベンダー各社は実際には仮想化ツールを提供していないが、このような傾向ももうすぐ変わるだろう。NovellやRed Hatをはじめ、MicrosoftからSunまで、すべてのベンダーはそれぞれのプラットフォームにハイパーバイザーをインプリメントする予定なので、仮想化技術の採用を迅速化するツールの投入が必要になるであろう。

Microsoftが5月のWinHEC 2006カンファレンスで発表した「Virtual Machine Manager」という新製品の場合は別で、このフェーズのニーズ以外にさまざまなものに対応している。

実現のための知識がどこより豊富であっても、アプリケーションベンダー各社が仮想化専用ツールを提供することはほぼないだろう。

これらベンダー各社に期待できるのは、物理的なテスト環境と仮想テスト環境の両方のパフォーマンス比較に利用する平均値のデータベースを用意したアプリケーションプロファイリングツールがせいぜいだ。

今日ある顧客向けの具体的なソリューションは、4番目のカテゴリーにいる中立の仮想化専門家が提供する。

そのなかで最も知名度の高いのが、「PowerRecon」で有名なPlateSpinではないだろうか。「PowerRecon」は、データセンターにある物理マシンのインベントリとベンチマークを行う完成度が高く柔軟なソリューションで、これが物理環境から仮想環境への移行ツールにデータを渡す。これについては、仮想化技術の採用における4番目のフェーズで解説する。

次回は、細心の注意を要し、プロジェクト全体の成否がかかるキャパシティ・プラニングフェーズについて解説する。

*ご注意:本稿は、昨年英語版サイトで最も閲覧されたニュースのうちの一つとして掲載しております。そのため一部情報が古い可能性もございます。 なお、原文はこちらをご参照ください。